いよいよ11月になります。この時期、多くの人が紅葉の景色を思い浮かべ、紅葉を見に行く計画を立てたりしていることでしょう。一方、わたしたちカトリック信者としては、この時期に何を考えるのでしょう。言うまでもなく、多くの信者が死者の日のことを考えていることと思います。なぜなら、カトリック教会は11月を死者のために祈る月としていますし、亡くなった方々のためにこの月に祈るとともに、自分自身の死についても考え、準備するように勧められてもいるのです。さて、この死者の日は11月2日と定められていますが、その前日、11月1日には『諸聖人の祭日』を祝っています。この祭日についてどれくらいご存じでしょうか。
皆さんは諸聖人の祭日について聞いたことがあるでしょうか。この日を意識してミサに与ったことがあるでしょうか。もし、この祭日について未信者もしくはカトリック信者ではない人から質問されたら、上手く説明することができるでしょうか。その説明を探すところから始め、内容を理解して、カトリック信者として説明ができるようになることを目指してみてください。
毎月カトリック中央協議会が発行している『毎日のミサ』の11月号には、諸聖人の祭日について簡単な説明が書いてあります。『東方教会では、四世紀から、すべての殉教者たちを復活節中のある日、あるいは聖霊降臨後の最初の主日に記念していた。すべての聖人のことを十一月一日に祝う習慣の起源については、はっきりわかっていないが、おそらく、アイルランドやイングランドで行われるようになり、八、九世紀に、全西方教会に広まったと思われる。今は神のもとに迎えられ、すべての人のためにとりなす聖人たちに心を向ける祭日である』(毎日の読書より)と書いています。
姫路教会の書店でも入手できる『イエスさまといつもいっしょ』(稲川圭三神父著)という本の中には、『教会カレンダー -時の中で祝う永遠』というセクションがあり、『死者の月』というサブタイトル中で、『諸聖人の祭日』をこのように説明しています。『十一月一日は、「諸聖人」の祭日です。その名の通り、すべての聖人を記念して祝う祭日です。古くはすべての殉教者を記念する祝いでしたが、八世紀頃に、この日にすべての聖人の記念を祝うようになったということです。日本ではかつて「万聖節」と訳されていました。』(p.53).
稲川神父様の説明によると、『諸聖人の祭日』と『死者の日』は切り離すことができません。「死者の日」はクリューニー修道院長オディロによって十一世紀初めに始まったようですが、その結果、11月1日には諸聖人のために祈り、その翌日、11月2日はすべての死者のために祈る日と定められました。このようにすべての聖人、すべての死者のために祈ることから始まる11月を教会は「死者の月」とし、すべての亡くなられた方々のために祈るのです。
フランスでは、諸聖人の祭日は休日となっており、多くの家族がお墓参りに行って死者のために冥福を祈っています。学校ではVacances de Toussaint(諸聖人の日の休日)という休みもあり、今年は10月19日から11月4日になります。アフリカでも諸聖人の祭日は休日になっており、教会では守るべき日となっていますから、ミサに与ることが義務付けられています。ですから、多くの信者が諸聖人の祭日の意味を理解しています。それに対し、日本では11月1日が日曜日でなければ「諸聖人の日」を認識しない人が多いようです。
「日本の教会における主日以外の守るべき祝日は、主の降誕の祭日(クリスマス)と、神の母聖マリアの祭日(1月1日)です。信者は、すべての主日(日曜日)と守るべき祝日にはミサにあずかります」(カトリック教会情報/ハンドブック2024、p.65)。たとえそう決められているとしても、諸聖人の努力によって支えられてきたカトリック教会にとって諸聖人の日は大切な祭日の一つです。信者一人ひとりが何を信じているかを知り、説明できるように努力しなければならないと思います。今年の諸聖人の祭日は金曜日ですが、できる限りその翌日の死者のミサだけではなく、諸聖人のためのごミサに一人でも多く信者が参加し、ともに祈ることを期待しています。